匿名で企業の悪口を書かれたら特定できるのか?削除依頼や開示請求について

就職活動をしている方は、様々な方法で企業の情報を集めようとしていると思う。
昨今では、ネームバリューのある企業よりも、人間関係や福利厚生の充実、残業時間の少ない所…といったように、働きやすさが重視される時代である。

では、求職者はどのようにして企業の働きやすさの情報を集めるのか。所謂、評判サイトや掲示板等の口コミサイトではないだろうか。
しかし、この手のサイトは匿名で企業の悪口も簡単に書かれてしまい、投稿者の特定をするのも難しい為、企業に悪い印象を与える投稿が多いのも事実だ。

このように、評判サイトや掲示板に匿名での悪口を書かれ、特定も難しい場合、どのように対応すれば良いのだろうか。

ネット上に匿名で企業の悪口を書かれた場合の特定方法や削除依頼について

昨今、インターネット上での企業に対する誹謗中傷や風評被害は増加しており、それを原因とした企業の被害も見逃せない状態となっている。
では、ネット上に匿名で悪口を書いた人間を特定したり、その投稿を削除させることは可能なのだろうか。

ネット上に投稿された誹謗中傷等に対する対応としては、削除依頼情報開示請求の2つが挙げられる。

削除依頼

削除依頼とは、言葉の通り、匿名で悪口が投稿されているサイトの管理者に該当の投稿を削除するよう求めること。この削除依頼をするにあたって、サイトの管理者の特定をする必要がある。サイト内に削除に関する問合せフォーム等があれば、そこから削除要請を行うことができるが、サイト内にフォーム等がない場合は、直接サイト管理者に削除要請を行うからだ。その際には、一般社団法人テレコムサービス協会が作成したガイドラインに従った書式による依頼を行うことが有用となる。
手引き・ガイドライン|一般社団法人テレコムサービス協会

この方法だと、削除に応じてもらえない可能性があるが、その場合は法的手段として仮処分の申し立てを行う方法がある。この仮処分が認められ、削除の仮処分命令が発せられると、多くの場合で削除対応がなされる。

情報開示請求

開示請求とは、プロバイダ責任制限法第4条に基づく情報開示請求のこと。
ネット上で誹謗中傷の投稿等を行った発信者の情報について、プロバイダに対して、情報の開示を求める制度のことである。

通常、ネット上の情報流通は匿名で行われる為、悪口などを書いた人物は特定できないものである。しかし、それだと被害を受けた側が泣き寝入りすることになってしまう。
そこで、悪口や誹謗中傷を投稿した者に対して損害賠償請求を行ったり、刑事上の責任を問うべく捜査機関に対して発信者の告訴・告発を行ったりする為、投稿者本人を特定する手段が必要になってくる。
プロバイダ責任制限法第4条は、匿名性の強いネット上での被害に対して、加害者である投稿者の特定を可能とする手段を規定しているのである。

参考:プロバイダ責任制限法第4条|一般財団法人情報通信振興会

評判サイトに書かれた匿名の悪口は特定も削除もめんどくさい?

求職者の多くが求人に応募する際に確認するのは、評判サイトの口コミである。

評判サイトの口コミは、退職者や退職を考えている社員が投稿するパターンが多い為、匿名で悪口(ネガティブな内容)を書かれる可能性が高く、且つ誰が書いたかの特定もしにくい。
とはいえ、ネガティブな内容の投稿をそのままにしておくと、求職者の応募辞退・内定辞退に繋がってしまうし、それが火種となって炎上してしまう可能性もある。
その結果、企業の信頼度や売上の低下といった二次被害が出てしまうのだ。

しかしながら、評判サイトに書かれた投稿は削除までに時間がかかるもの。
悪口などのネガティブな内容の投稿に対して、削除依頼を出すことはできるが、その投稿が事実とは異なることを証明しないといけないのだ。

例えば、「残業時間が100時間あった」という口コミに対し「実際は平均40時間で、事実とは異なるので削除してください」という依頼を出す場合は、口コミに書かれた残業時間が嘘だと証明できるよう、社員の出退勤管理表などを提出しなければならない。
証拠を出した上で、事実とは異なると証明された時に、ようやく削除されるという感じだ。

上記はあくまで一例だが、評判サイトの口コミで企業の悪口を書かれた場合は、投稿者を特定するのも、該当の投稿を削除するのも、時間と労力がかかるのである。

削除依頼が簡単にできる評判サイトもある

さて、このブログでも何度か紹介している評判DBだが、この間自分の会社のページをチェックしてみたところ、応援メッセージという名の掲示板が設置され、匿名で誰でも書き込みができる仕様になっていた。

他の評判サイトと違うのは、各企業ページの掲示板へ匿名で悪口や誹謗中傷の投稿があった場合、投稿者の特定は難しいものの、無料の企業管理者登録をすれば、マイページから簡単に、投稿の削除依頼ができるようだ。

応援メッセージとうたっていても、匿名で会員登録もなしで投稿ができる場である以上、企業への悪口を書き込まれる可能性は低くはないし、特定も難しい。
しかし、評判DBは、応援メッセージ上で企業にマイナスイメージを与える内容の投稿を見つけたら、無料の会員登録をするだけで削除依頼ができるという、現代のネット社会では優しい仕様になっている。

尚、削除に値するかどうかは評判DBのガイドラインに沿って決められる為、必ずしも依頼をした投稿が削除されるとは限らないようだ。

【まとめ】匿名で企業の悪口を書かれたら特定できるのか?

今回は、ネット上に企業の悪口を書かれた場合の対応について見てきた。
一つ言えるのは、匿名で書かれた悪口一つを特定するのにも消すのにも相当の費用と時間がかかるということ。
では、企業の悪口や誹謗中傷の投稿を防ぐためにどうするべきなのか。
普段からできる簡単な対策としては、企業の正しい姿を発信していくことではないだろうか。

先ほども触れた評判DBだが、企業管理登録をすると、自社の情報を自ら発信できるようになっている。
普通の評判サイトでは元社員などからの口コミで企業の悪口を書かれる事もあるが、評判DBの場合は、企業担当者が自社の取り組みや福利厚生、ニュースリリース等の情報を発信することができるのだ。
それらの情報も含めて、AIによる公正公平な評価付けをするのが評判DBなのである。

評判DBは何のためにできたのか、何故企業側からも情報の発信ができるようにしたのかについて、評判DBの運営会社(評判DB株式会社)の高橋社長がインタビューを受けている記事があったので載せておく。
【人事・転職者必見】企業の生産性と従業員のQOLを上げる「評判力」|Yahoo!ニュース

現代社会では、ネット上でのイメージが物言う時代となってきているので、評判DBのように、企業の規模に関係なく、等しく情報を発信することができるプラットフォームは、絶対に必要であると感じた。
正しい情報を発信し、企業の価値を正しく評価してもらうことで優秀な社員が揃う。その結果、生産性があがり社会に貢献できるという好循環が生まれるのだ。

私も、このように利用できるサービスはとことん利用し、企業の評価アップに繋げていきたいと思う。